2010年12月10日
税制改正について政府へ提言

自民党の税制調査会において23年度「税制改正についての基本的考え方」をまとめ、野田税制調査会長とともに野田財務大臣へ申し入れを行いました。

以下長文ですが、考え方のポイントを記載します。

○税制抜本改革の重要性
近年、財政状況の危機的な悪化により、財政はその対応力を著しく欠いており、安全保障、国際競争力強化、人材育成、地域格差の是正など必要な分野への資源配分が進まず、あらゆる面で支障をきたしており、急速に進む少子高齢化の中、もはや借金頼みは限界にきており、財政の対応力を回復するには、消費税を含む税制抜本改革は不可欠である。
わが党は、本年7月の参議院選挙の公約で「消費税を含む税制抜本改革の必要性」を国民に約束し、当面10%とすること及び具体的内訳(「少子化対策や社会保障の機能強化」(7兆円)「自然増分」(初年度1兆円)「現在、消費税以外で賄われている社会保障費用」(7.3兆円))も明らかにした。
一方、政府・民主党は、菅総理が参議院選挙で消費税率に言及して以来、ほとんど議論が進んであらず、政権政党として無責任極まりないことは強く非難されなければならない。

○理念なきバラマキ政策のための財源あさりに終始
政府が来年度税制改正で検討している項目について特に留意しなければならない点があり、それは民主党マニフェストの基本である「バラマキ政策」に与することはできないことである。
わが党は党綱領で言及している通り、まずは、『自助』の努力で頑張っている人に頑張ってもらうことが社会を大きく前進させる力となる。その一方で、自助努力への支援を強化するとともに、かつて努力したが長寿化のため充分な努力ができなくなった人たちやなんらかの理由でハンディを背負ってしまった人には地域や社会やボランティアで支え合う『共助』、セーフティネットとしての政府等による『公助』、この3つを適切に組み合わせることによって、改めて温かい社会を築きなおす必要があると考える。
全ての人に手当をばら撒くという社会主義的な手法は過度な『公助』への依存によって自助の努力を削ぐだけでなく、過大な財政負担を必要とし、到底受け入れられない。
さらに、バラマキ政策の象徴ともいえる「子ども手当」の財源のため、現在、政府は人的控除の廃止・縮減を検討しているが、「控除」の意義、つまり、家族の「絆」や個人の価値観などについてはほとんど議論が無く、バラマキ政策の実行ありきの理念なき、場当たり的な「控除から手当へ」という哲学は全く理解できず、単なる「財源あさり」である。

○増税一色の来年年度改正議論
政府の税制調査会における検討項目を鳥瞰してみると、現下の厳しい経済の状況を改善させる意気込みを感じることは全くできない。「人的控除の廃止・縮減」「環境税の創設」など「増税」感の強い税制改正議論となっており、日本経済の活性化、国民生活の向上に資する税制改正とは程遠いものであると指摘せざるを得ない。
民主党政権は、雇用促進税制を検討しておきながら、国内での議論のなされないままに示された1990年比CO225%削減という突出した数値目標、製造業への派遣禁止、最低賃金の拙速な引き上げなどの「雇用空洞化推進政策」が未だに掲げられており、直ちに政策転換すべきである。
一部、減税関係で聞こえてきているのは、「法人税の引き下げ」ぐらいであるが、これについても問題が多い(後述)。

○主な個別税制項目について
【個人所得課税】
税制抜本改革の一環として「あるべき姿」を検討していくべきである。特に、「各種控除」「税率構造」は一体として見直し、「各種控除」については、格差の是正や所得の再配分機能の回復の観点を踏まえ、時代に合った人的控除制度へと見直すべきであると考える。
所得税・住民税については、その構造次第では、家族の結び付き、絆を根本から揺るがしかねず、個人の価値観やライフスタイル、家族構成等の観点からの議論が不可欠である。
特に、子ども手当の財源として、扶養控除を廃止したばかりでなく、手当の上積みのために配偶者控除の廃止などを提起していることは、まさに理念なきバラマキ政策のための財源あさりのために所得税体系を壊す、本末転倒の議論と言わざるを得ない。
また、金融証券税制については、現下の経済情勢を考えれば軽減税率の延長が必要である。

【法人課税】
雇用の場の確保のためには、企業の活力が不可欠である。海外との格差をなくし、企業の海外流出を防ぐ観点から、法人税については社会保険料を含む実質的な負担に配慮しつつ、法人税率を国際標準の20%台に思い切って減税する。中小企業についても、個人事業主とのバランスに配慮しつつ引き下げを検討する。
わが党は、法人税減税の財源を法人税体系の中でのレベニューニュートラルに囚われることなく、税制抜本改革を視野に子ども手当等のバラマキ予算の停止・縮減、公務員人件費削減等で賄い、実質負担の軽減を図ることを強く主張する。
一方で民主党政権は、5%減税の財源について、「研究開発税制の大幅縮減」や「特別償却・割増償却の廃止」「異常危険準備金」等の租税特別措置の見直し、「減価償却制度の抜本的見直し」「欠損金の繰越控除の制限」「受取配当益金不算入」「貸倒引当金等の廃止・縮減」などを検討している。これでは競争力強化を目指す企業にとって実質増税となるケースも考えられ、無原則な財源あさりはすべきではない。
当然、政府が掲げているアンチビジネス政策は撤回すべきであることは言うまでもない。

【環境税】
まずは、理念が不明確であると指摘する。何のために環境税を導入するのか。環境税に名をかりた石油、石炭税の引き上げではないのか。さらに、CO225%削減を標榜しながら、排出量取引や森林吸収源など、何ら具体的な温暖化対策が示されることなく、使途を含めた全体像が不明確な中での導入は拙速である。安易な導入は、国民生活や産業活動に悪影響を与えかねず、断固反対である。

▲このページの先頭へ